第40週も3院で232人、インフルエンザの診断が続いています
こんにちは。医療法人社団aQuaです。「インフルエンザと言われました。家ではどう過ごせばいいですか」——この1〜2週間、診察室でいちばん多くいただく質問です。熱の下がり方、解熱剤を使うタイミング、食べられないときのこと。説明したいことが多く、診察の短い時間では伝えきれないこともあるので、一度まとめておきます。
当法人3院の集計では、第40週(2026年9月28日〜10月4日)にインフルエンザAと診断したお子さんは、小岩97人、市川院116人、東池袋院19人の合計232人でした。前の週(第39週)の306人からはやや減っていますが、8月中旬の第33週が3院合計23人だったことを思えば、まだ多い水準です。減った理由については、流行そのものの動きに加えて受診のタイミングの偏りもあるかもしれず、現時点では「落ち着いた」と言い切れないと考えています。なお、これは当院を受診された方の集計で、江戸川区・市川市・豊島区の流行全体をそのまま表すものではありません。
| 院 | 第39週 | 第40週 |
|---|---|---|
| 小岩 | 106人 | 97人 |
| 市川院 | 143人 | 116人 |
| 東池袋院 | 57人 | 19人 |
| 3院合計 | 306人 | 232人 |
同じ第40週は、せき・鼻水・のどの症状をまとめた呼吸器感染症も3院合計1,112人(小岩487・市川446・東池袋179)と多く、感染性胃腸炎も50人(小岩26・市川20・東池袋4)いました。10月はマイコプラズマや空気の乾燥も重なる時期です。「インフルエンザが治ったと思ったら、今度は別のかぜ」ということも起こりえます。
熱の出方の見通し:解熱までの日数と、下がってまた上がるとき
インフルエンザの発熱は、一般に3日前後で下がってくることが多いとされますが、個人差があり、5日ほど続くお子さんもいます。最初の1〜2日が熱のピークで、そこを越えると少しずつ機嫌や食欲が戻ってくる、という経過をたどることが多い印象です。
いったん下がって、また上がる
子どものインフルエンザでは、熱が一度下がってから再び上がる「二峰性」の経過がみられることがあります。半日〜1日ほど平熱に近づいたあと、また38℃台に戻る形です。これ自体は珍しいことではありませんが、次のようなときは、合併症(中耳炎や気管支炎・肺炎など)が隠れていないかを確認したいので、日中のうちにご相談ください。
- 解熱して1日以上たってから、また38℃以上が続く
- 熱が下がっても、せきがどんどん強くなる・息が速い
- 耳を痛がる、耳だれが出る
- 5日を過ぎても熱が下がる気配がない
登園・登校のめやす
学校保健安全法では、インフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」が出席停止の目安とされています。発症日は0日目として数えます。熱が下がってもすぐには戻れない決まりなので、「家での5日間」をどう過ごすかがどうしても課題になります。保育園・学校によって提出書類が異なりますので、必要な方は受診時にお申し出ください。
解熱剤はいつ使う? 使わなくてよい場面と使ってよい場面
「39℃あるのに解熱剤を使っていいのか」「使わないと脳に悪いのでは」というご質問をよくいただきます。考え方はシンプルで、体温の数字ではなく、お子さんのつらさで判断するのが基本です。
使わなくてよいことが多い場面
- 38℃台でも、水分がとれていて、遊んだりテレビを見たりできている
- 寝入っていて、よく眠れている(起こしてまで飲ませる必要はありません)
使ってよい場面
- 熱で眠れない、ぐずって水分が飲めない
- 頭やのどの痛みがつらそう
- 少し下げて、その間に水分や食事をとらせたいとき
解熱剤は病気を治す薬ではなく、つらさをやわらげて休みやすくするための薬です。平熱まで下げる必要はなく、1℃ほど下がって水分がとれれば十分と考えてかまいません。使用の間隔は通常5〜6時間以上あけ、1日の回数は処方時の指示に従ってください。
注意していただきたいのは、大人用の市販の解熱鎮痛薬を自己判断で使わないことです。成分によっては子どものインフルエンザのときに避けたほうがよいものがあります。処方されたお薬、または小児科で確認済みのお薬をお使いください。手元の薬で迷ったら、お電話でも結構ですのでご確認ください。
抗インフルエンザ薬を使う時期の「ひとりにしない」見守り
抗インフルエンザ薬を処方されたご家庭から、「急に走り出すと聞いて不安です」というお声をいただきます。インフルエンザにかかったお子さんでは、急に走り出す、窓やドアを開けようとする、おびえる、意味のわからないことを言う、といったふだんと違う行動(異常行動)がみられることがあります。これは薬を使っていない場合にも報告されており、薬の有無にかかわらず注意が必要とされています。
とくに発熱から2日間は、お子さんをひとりにしない工夫をおすすめします。
- 玄関や窓、ベランダの戸にしっかり鍵をかける(補助錠があればなお安心)
- ベランダに面していない部屋で寝かせる。可能なら1階で
- できるだけ同じ部屋で、保護者が寝るようにする
- 目を離すときは短時間にして、声をかけて様子を確認する
多くは短時間でおさまりますが、ケガにつながらない環境を先に整えておくことが大切です。
水分・食事の工夫と、すぐ受診してほしいサイン
熱が高い間は、食事よりも水分が優先です。食欲が戻るまで2〜3日かかることは珍しくないので、「食べない」より「飲めない」のほうを心配してください。
水分のとらせ方
- 経口補水液、麦茶、薄めたりんごジュース、みそ汁の上澄みなど、飲めるものでかまいません
- 一度にたくさんではなく、ひと口(乳幼児なら5〜10mL程度)を数分おきに、くり返して
- 吐いてしまったときは20〜30分ほど休ませてから、また少量ずつ
- 乳児は母乳・ミルクをふだんより短い間隔で
- ゼリー、アイス、プリン、おかゆ、うどんなど、のどを通りやすいものから
- おしっこの回数と量が、脱水の一番わかりやすい目安です
時間にかかわらず、早めに受診していただきたいサイン
- ぐったりして反応が鈍い、呼びかけへの返事がはっきりしない
- 顔色が悪い、くちびるの色がすぐれない
- 呼吸が苦しそう(肩で息をする、小鼻がピクピクする、ゼーゼーする、息が速い)
- 水分がとれない、半日以上おしっこが出ない
- けいれんした
- 生後3か月未満の発熱
- 強い頭痛や、くり返す嘔吐がある
反対に、熱が高くても水分がとれていて、眠れていて、解熱したときに少し笑顔が出るようなら、あわてず家で様子をみていただいて大丈夫なことが多いです。
これから受診を考えている方へ
まだ検査を受けていない段階でインフルエンザが疑わしいときは、元気があれば発熱から24時間以上たってからの受診をおすすめしています。発熱直後は検査が陰性に出やすいためです。ただし上に挙げたサインがあるときは、時間にかかわらず早めにご相談ください。
家族にうつさないために、できる範囲で
きょうだいがいるご家庭で完全に防ぐのは難しいのですが、タオルと食器を分ける、こまめに換気する、看病の前後に手を洗う、といった基本だけでも違ってきます。10月は空気が乾き始める時期でもあるので、室内の加湿も喉の負担を減らす助けになります。まだインフルエンザワクチンを受けていないご家族は、体調が落ち着いてからの接種についてご相談ください。発症したお子さん本人の接種時期は、回復の経過によって変わりますので、診察時にお尋ねいただければと思います。
3院はいずれも年中無休で診療しています。夜間や休日に判断に迷うときは、こども医療でんわ相談 #8000 もご利用ください。各院のホームページでは、1週間ごとの感染症の診断数を毎週更新しています。お住まいの地域の様子を知る手がかりにしてください。
熱の5日間は、看病するご家族にとっても長い5日間です。どうか無理をなさらず、気になることがあればいつでも声をかけてください。
髙木 虎太郎
記事監修
医療法人社団aQua理事長 髙木 虎太郎
国立大学法人 滋賀医科大学 医学部医学科 卒業
慶應義塾大学医学部小児科
慶應義塾大学関連病院
埼玉県立小児医療センター血液腫瘍科
日本小児科学会小児科専門医、日本血液学会血液専門医

