「夜中に熱が出たんですが、朝一番で検査したほうがいいですか?」
こんにちは。医療法人社団aQuaです。9月に入ってから、診察室でいちばん多くいただく質問のひとつがこれです。夜11時に39度、子どもは眠っている、でも明日は学校も仕事もある——そんなとき、朝の開院と同時に駆け込むべきか、それとも少し待ったほうがいいのか。迷う気持ちはとてもよく分かります。
結論から言うと、「お子さんの様子がしっかりしているかどうか」で考え方が変わります。この記事では、検査のタイミングの目安と、受診までのあいだのおうちでのケアを整理しておきます。迷う夜が少しでも減れば幸いです。
まず、いまの流行状況(3院の集計データ)
当法人3院(小岩・市川・東池袋)で1週間に診断した人数を集計しています。第38週(9月14日〜20日)は、インフルエンザAが3院合計で218人(小岩90人・市川88人・東池袋40人)、新型コロナが39人(小岩20人・市川14人・東池袋5人)でした。
| 週 | インフルA | 新型コロナ | 呼吸器感染症 |
|---|---|---|---|
| 第35週(8/24〜8/30) | 55人 | 9人 | 687人 |
| 第36週(8/31〜9/6) | 127人 | 12人 | 826人 |
| 第37週(9/7〜9/13) | 163人 | 25人 | 1,015人 |
| 第38週(9/14〜9/20) | 218人 | 39人 | 1,205人 |
インフルエンザAは4週間で55人から218人へ、新型コロナも9人から39人へと増えています。熱のお子さんが同時に何種類かの感染症のなかにいる状況ですので、「熱=必ずインフルエンザ」とも限りません。だからこそ、検査のタイミングが結果を左右します。
発熱してすぐの検査は、結果が出にくいことがあります
理由は「ウイルスの量」
インフルエンザや新型コロナの迅速検査(鼻やのどをぬぐって15分ほどで結果が出る検査)は、体の中のウイルスがある程度の量に増えていないと、感染していても陰性と出ることがあります。一般には、発熱してから半日〜1日ほど経つと検出されやすくなるとされています。熱が出て2〜3時間の時点で検査をすると、「陰性だったのに、翌日もう一度受けたら陽性」ということが起こりうるのです。
当法人の目安
そのため当法人では、インフルエンザが疑わしいときは、お子さんに元気があれば発熱から24時間以上たってからの受診をおすすめしています。夜中の2時に熱が出たのであれば、翌日の夕方や翌々日の午前が目安になります。慌てて朝一番に来ていただいても、検査をやり直すことになってしまう場合があるためです。
なお、これはあくまで「元気があるとき」の目安です。次に挙げるようなサインがあるときは、時間にかかわらず早めに受診してください。
夜に熱が出たとき、朝まで自宅で見てよいサイン/すぐ受診したいサイン
朝まで自宅で様子を見てよさそうなとき
- 熱は高くても、声かけに反応し、目の表情がはっきりしている
- 少量ずつでも水分(水・麦茶・経口補水液など)がとれている
- 呼吸が速すぎず、苦しそうな様子がない
- 顔色・唇の色が普段と大きく変わらない
- 寝つけて、眠っている時間がある
熱の高さそのものよりも、「水分がとれているか」「呼吸はどうか」「反応はどうか」を見ていただくと判断しやすくなります。40度でもけろりとしているお子さんもいれば、38度台でもぐったりするお子さんもいます。
時間にかかわらず早めに受診したいとき
- ぐったりしていて、起こしても反応が鈍い
- 顔色が悪い、唇や指先の色がすぐれない
- 呼吸が苦しそう(肩で息をする、小鼻がぴくぴくする、肋骨の間がへこむ、横になれない)
- 水分がとれない、半日以上おしっこが出ていない
- けいれんがあった、けいれんのあと様子がおかしい
- 生後3か月未満の発熱
- 強い頭痛や腹痛、くり返す嘔吐がある
3院はいずれも年中無休で診療しています。夜間や休日に判断に迷うときは、小児科医・看護師に相談できる「こども医療でんわ相談 #8000」もご利用ください。
受診までの家庭ケア:解熱剤・水分・眠れないとき
解熱剤の考え方
解熱剤は、熱を下げること自体が目的というより、「つらさをやわらげて、水分がとれたり眠れたりするようにする」ためのお薬です。熱が高くても機嫌がよく水分がとれているなら、必ずしも使わなくて構いません。逆に、つらくて眠れない・飲めないときは使ってあげてよいものです。以前に処方されたお薬が残っている場合は、年齢や体重が変わっていることもありますので、量や使用期限をご確認ください。判断に迷うときは受診時にお持ちいただければ一緒に確認します。
水分のとらせ方
熱があると汗や呼吸から水分が失われます。コップ1杯を一気にではなく、スプーン1〜2杯を5〜10分おきにといった少量頻回が飲みやすい方法です。水、麦茶、経口補水液のほか、みそ汁の上澄みやゼリー、アイスなど、お子さんが受けつけるもので構いません。嘔吐があるときは、吐いてから30分ほど休ませてから少量ずつ再開してみてください。
眠れないとき
熱の上がり始めは寒気で震えることがあります。このときは1枚多めにかけ、手足が温まって顔が赤くなってきたら、薄着にして熱を逃がします。氷まくらや保冷剤は、本人が嫌がらなければ首まわりやわきの下に当てると楽になることがありますが、無理強いはしなくて大丈夫です。
受診時に伝えていただくと、診断が早まる3つの情報
1. 発熱した時刻
「昨日から」ではなく「昨日の夜9時ごろから」と分かると、検査に適した時間かどうかを判断しやすくなります。体温を測った時刻と数値をメモか母子手帳、スマートフォンに残しておいていただけると助かります。解熱剤を使った時刻も添えてください。
2. 周囲の流行
園や学校のクラスで何が流行っているか、きょうだいや同居のご家族に同じ症状の方がいるかは、大きな手がかりになります。市川市・江戸川区・豊島区それぞれの地域でも流行の様子は少しずつ違います。「学年閉鎖の連絡が来た」「同じクラスでインフルエンザの子がいる」といった情報は、ぜひお伝えください。
3. 既往歴・基礎疾患・服薬
ぜんそくや熱性けいれんの既往、アレルギー、現在飲んでいるお薬、ワクチンの接種状況などです。お薬手帳や母子手帳をお持ちいただくとスムーズです。初めて受診される方は、これまでにかかった病気や入院歴も分かる範囲で構いません。
週ごとの流行状況は各院のページで更新しています
各院のホームページで、1週間ごとの診断人数をまとめて公開しています。「いま何が増えているか」が分かると、発熱したときの見通しも立てやすくなります。よろしければご覧ください。
「24時間待つ」という目安はあくまで検査結果を確かなものにするための考え方で、お子さんの様子が気になるときはいつでも優先してください。夜中に熱が出ても、元気そうなら少し休ませてあげて大丈夫なことが多いものです。迷ったときは遠慮なくご相談ください。
髙木 虎太郎
記事監修
医療法人社団aQua理事長 髙木 虎太郎
国立大学法人 滋賀医科大学 医学部医学科 卒業
慶應義塾大学医学部小児科
慶應義塾大学関連病院
埼玉県立小児医療センター血液腫瘍科
日本小児科学会小児科専門医、日本血液学会血液専門医

