第37週の呼吸器感染症は3院合計1,015人
こんにちは。医療法人社団aQuaです。新学期が始まって2週間、診察室では「熱は下がったのに咳だけが続いています」「運動会の練習のあとだけ咳き込みます」というご相談が目立つようになりました。同じ「咳」でも、感染症が続いているのか、秋の花粉やほこりによるものなのか、あるいはぜんそくのような気道の敏感さが背景にあるのかで、ご家庭での対応も受診のタイミングも変わってきます。
まず、3院の集計データを見てみます。当法人では毎週、診断した人数を院ごとに集計して公開しています。第37週(2026年9月7日〜13日)の「呼吸器感染症」(いわゆる風邪や気管支炎など、のど・鼻・気管の感染症をまとめた分類です)は、3院合計で1,015人でした。前の週の826人から増えており、夏休み明けから週を追うごとに増えている様子がうかがえます。
| 院 | 第36週(8/31〜9/6) | 第37週(9/7〜9/13) |
|---|---|---|
| 小岩 | 324人 | 471人 |
| 市川院 | 392人 | 433人 |
| 東池袋院 | 110人 | 111人 |
| 3院合計 | 826人 | 1,015人 |
あわせて、インフルエンザA型も第36週の3院合計127人から第37週は163人と、例年より早い時期に見られています。つまり今の9月は、感染症による咳と、季節性の咳が重なりやすい時期だと考えられます。
熱が下がったのに咳だけ続くときに考えること
風邪をひいたあと、熱や鼻水が落ち着いても咳だけが残ることはよくあります。気道の粘膜が回復するまでには時間がかかり、その間は少しの刺激でも咳が出やすくなる、と一般的に説明されています。目安として、咳が1〜2週間かけてだんだん軽くなっているなら、経過を見ながらでよいことが多いです。
「治りかけ」と少し違うかもしれないサイン
- いったん軽くなった咳が、また強くなってきた
- 熱が下がってから3〜4日以上たって、再び発熱した
- 咳が3週間以上続き、軽くなる気配がない
- 夜中や明け方に咳き込んで、眠れない・吐いてしまう
- 息を吐くときにゼーゼー・ヒューヒュー音がする
こうしたときは、別の感染症をもらい直している可能性もありますし、気道が過敏になっている状態が続いていることもあります。自己判断で市販薬を続けるより、一度診察でお子さんの呼吸の音を聴かせていただくほうが安心です。
兄弟姉妹や園・学校の様子もヒントになります
周囲に同じような症状の子が何人もいるなら感染症の可能性が高まりますし、家族にだれもうつっていないのに本人だけ長く咳が続く場合は、感染症以外の要因も考えやすくなります。園や学校での流行の情報は、受診のときにぜひ教えてください。
秋の花粉やほこりで出る咳のサイン
9月はブタクサやヨモギなど、秋の草の花粉が飛ぶ時期にあたります。また、涼しくなって窓を閉める時間が増えると、ハウスダストやダニの影響が出やすくなる季節でもあります。花粉やほこりによる症状は、鼻水・くしゃみだけでなく、鼻水がのどに流れることによる咳(後鼻漏)や、のどのイガイガとして現れることもあります。
感染症らしさ・アレルギーらしさの違い(あくまで目安です)
- 発熱:感染症では出ることが多く、花粉やほこりが原因の場合は通常、熱は出ません
- 鼻水の性状:透明でサラサラした鼻水が長く続くときは、アレルギーの関与も考えます
- 目のかゆみ:目をこする・充血する場合は花粉の影響を疑うきっかけになります
- 出る場所と時間:屋外の草むらで遊んだあと、布団に入ったとき、掃除のときなど、決まった場面で症状が出る
- 期間:同じ症状が数週間、毎年同じ季節に繰り返している
ただし、これらはあくまで見分けのヒントで、実際には感染症と花粉が重なっていることも珍しくありません。「熱はないけれど咳と鼻が続く」という状態が2週間以上続くようであれば、診察で相談していただければと思います。必要に応じて、アレルギーの検査や、鼻の症状に対する治療についてもご説明します。
運動会の練習で咳き込む・ゼーゼーするときの受診の目安
この時期は「運動会の練習が始まってから咳が増えた」というお話もよく伺います。走ったあとに一時的に息が上がるのは自然なことですが、次のような様子があるときは、気道が敏感になっている状態が隠れていることがあります。
- 走ったあとに咳き込みが長く続き、なかなかおさまらない
- 運動のあとや夜間に、ゼーゼー・ヒューヒューという音がする
- 以前より疲れやすく、途中で走るのをやめてしまう
- 冷たい空気を吸ったときや、笑ったときに咳が出る
こうしたエピソードは、診察の短い時間では確認しづらいものです。「いつ・どんな場面で・どのくらい続いたか」をメモやスマートフォンの動画で残しておいていただけると、とても参考になります。
時間を問わず早めに受診していただきたいとき
- ぐったりしている、顔色が悪い
- 呼吸が苦しそう(肩で息をする、小鼻が開く、肋骨の間がへこむ、横になれない)
- 水分がとれない、おしっこが半日以上出ない
- けいれんがあった
- 生後3か月未満の発熱
一方、インフルエンザが疑わしい発熱のときは、元気があれば発熱から24時間以上たってからの受診をおすすめしています。発熱してすぐは検査が陰性になりやすいためです。もちろん、上に挙げた様子があるときは時間にかかわらずご相談ください。
おうちでできること
咳が続くときは、こまめな水分補給と、寝るときに上半身を少し高くすることが楽につながる場合があります。秋の花粉が気になるときは、外遊びのあとに顔や手を洗う、上着を玄関で払う、洗濯物や布団を取り込むときに花粉を落とす、といった工夫も取り入れやすい方法です。室内のほこり対策として、寝具をこまめに洗うことも役立ちます。
なお、運動会に参加してよいかどうか、登園・登校の判断については、先日の記事「運動会シーズン 休む・戻るの判断に迷ったら」もあわせてご覧ください。
3院の集計と、困ったときの相談先
江戸川区(小岩)・市川市・豊島区(東池袋)の各院では、毎週の集計を各院のホームページで公開しています。園や学校で何が流行っているかの目安として、お住まいの地域のページをのぞいてみてください。
3院はいずれも年中無休で診療しています。夜間や休日に受診を迷われたときは、こども医療でんわ相談 #8000 もご利用いただけます。長引く咳は、ご家族も眠れず心配が続きやすいものです。「これくらいで受診してよいのかな」と迷う段階で、どうぞ気軽にご相談ください。
髙木 虎太郎
記事監修
医療法人社団aQua理事長 髙木 虎太郎
国立大学法人 滋賀医科大学 医学部医学科 卒業
慶應義塾大学医学部小児科
慶應義塾大学関連病院
埼玉県立小児医療センター血液腫瘍科
日本小児科学会小児科専門医、日本血液学会血液専門医

